Startup Weekendに参加したお話
先日、Startup Weekendというイベントに参加してきた。
Startup Weekendとは、金曜の夜&土日丸々の3日間で、「プチ起業体験を積もう」というもの(正確ではないけど、大きく外してはないと思う)。
3日間の流れについては、すでに色んな人がブログに書いているので、軽めに。その上で、自分が感じたことを書き残してみたい。
Startup Weekendの主な流れは以下。
<金曜>
- 集合(18:30開場)
- Startup Weekendについての概要説明
- ゲストスピーカーの講演
- アイスブレイク(チームに分かれ、適当な2単語から5分でビジネスモデルを考えて、1分で発表。例えば、「犬」と「ビール」をキーワードに、誰に何を売ってどう儲けますか?みたいな話をする)
ここまでが、いわば準備運動。ここからが、本番。まずは3日間を戦うチーム作り。
- 希望者が、テーマ(「ブライダル」「教育」「アフリカ」など、毎回テーマが決まっている。たまにフリーテーマな場合もある模様)に沿ったアイデアを1分間でピッチ。参加者の4/5ぐらいはピッチしてたかな。
- 人気投票によりテーマを10個ぐらいに絞る。参加者全員に3票の投票権が与えられ、いいと思ったアイデアに投票する。一つのアイデアに3票を投じても良いし、自分のアイデアに投票しても良い。僕のアイデアはここで敢え無く撃沈。
- 残ったアイデアのうち、どれかを選んでチームを形成(最低3人でチームになる)。3人集めることが出来れば、ボツになったアイデアを復活させても良い。
チームが作れたら、全体は解散。そこからはファミレスなどに場所を移して早速作業を始めるチーム、次の日からに備えて帰宅するチームなど様々。
<土曜(全体の時間は9時から21時ぐらいまで)>
- 日曜17時からのプレゼンに向けて、ひたすら作る。アイデアをブラッシュアップしたり、ターゲットを考えたり、MVP(Minimum Viable Product)を作ったり、顧客候補にインタビューしたり。
- 午後に、コーチングと言って、テーマに関連する分野で活躍されている方からコメントしてもらえる機会あり。僕が参加した会のコーチは4人。一人当たり15分、話せるのは2人か3人。
<日曜(全体の時間は9時から)>
- 17時からのプレゼンに向けて、ひたすら作る。
- プレゼンの評価項目は以下の3点らしい(項目の後ろの()内は僕なりの補足)
- Validation(どれだけ検証したか)
- Execution & Design(MVPはしっかり出来ているか)
- Business Model(儲かるか)
- 優勝が発表されて、その後懇親会
3日間を通じて感じたこと
時間がなく、少ないメンバーでやっている時は、みんなの意見を聞いていては進まない
僕のチームは3人チームだったのだけど、議論は相当ぐるぐるしていた。アイデアの詳細を詰めていく過程の初期段階で、リーダー(アイデア発案者)が持ってるイメージが相当曖昧だと判明。話の度に内容が変わることもしばしばあった。それでも、僕ともう一人のメンバーも平和主義者というか、「リーダーのアイデアだから、なるべくリーダーがやりたいように」と変にリーダーを尊重してしまったので、やんわり軌道修正を試みるも、すごく時間がかかってしまった。
特に時間が限られている中では、誰かがリーダーシップを持って、反独裁的に物事を決めていく、という日本人が苦手なやり方でガンガン物事を進めていく必要がある。
検証サイクルは、「顧客がお金を払ってくれるかどうか」の確認までを1セットに
優勝チームはビジネスモデルも素晴らしかったけど、特に評価されていたのは、プロトタイプを作り、ニーズの検証をしっかりと出来ていたこと。事業内容をイメージ出来るサイトを作ったり、実際にサービスを提供して感想を聞いてみたり。並行して作ったFacebookページには100以上のいいねがつき、サイトからは10人弱の事前登録があったとのこと。
これに対して我がチームの成果は、サービスの画面イメージ(パワポの図形貼り付けレベル)と数人のインタビューのみ。アイデアを考えてはボツにし、ピボットし、と細かな改善は何度も積み重ねていたのだけど、それだけで満足していたことがあったかな。最も重要なのは顧客がお金を出してくれるかどうかであり、方向転換・ブラッシュアップ時の便りにすべきは顧客の声なので、MVPを作ってそれを顧客に持って行き、意見をもらう、ここを検証サイクルのゴールにしなければいけなかった、と反省。
(この点は、3日間通してオーガナイザーからもずっと強調されていた点なのだけど。何となく、チーム内で話しをするだけでサイクルを回した気になっていた。ポジティブに捉えれば、体で理解できたことは収穫。)
また、顧客のニーズがある!ということの確認を初めから最終目標にしていれば、スピード感もだいぶ変わっていただろう。僕らのチームには、ロジカルなプレゼンをする、ぐらいのふわっとした目標しかなかったから、事前登録まで集めた、というのは正直衝撃だった。
一歩目を早く踏み出すことと、打ち出し角度を慎重に見極めることのバランスは難しい
一歩目を出来るだけ早く踏み出すべき、ということは分かっても、一方でその打ち出し角度を間違えない、というのも非常に重要な要素。頓珍漢な方向に踏み出してしまっては、後からのリカバリーも大変になる。
ここは、「誰のどんな課題をどのように解決したいのか」「そのためのMVPは何か」を出来る限り明確に正確に的確に定義することが大事なのかな。あとは、こういう検証を何度も何度も繰り返すことによって磨かれていく感性の部分もあると思う。このあたりは、経験を重ねることで少しでもうまく出来るようになりたいところ。
「サービスを使い続けてもらえるか」だけでなく「どうやってサービスを使い始めてもらうか」
僕らのチームでは、「どうやったらサービスが使われるか、使われ続けるか」が議論の中心になることが多かった。だから、「そもそも使い始めてもらわないと意味ないよね」というコーチからのアドバイスは個人的に新しい視点だった。どうやって手に取ってもらうのか(例えばアプリならダウンロードしてもらうのか)。そのためには、エッジが立ってないとダメ。
スキルを有している&手に職があることは強い
ちなみに、参加者は自己申告制で「ハッカー(プログラミング出来る人)」「デザイナー(デザインできる人)」「ハスラー(ハッカー・デザイナー以外)」に分かれる。
僕はハスラーとして参加。僕のように、コードも書けなければデザインも出来ない、マーケティングもしたことない、みたいな、特に具体的に役立つスキルがない人に出来ることは、必然的に「街を歩いているそこらへんの人に声をかけてインタビューをすること」がメインになる。(「会社の同僚に、自分がこのイベントに来ていることはあまり知られたくない」という僕のような覚悟の出来ていない人間は、SNSをガンガン活用するわけにもいかない。)
これが普通に出来るようになれば立派なスキルだし、多少の自信はついたけど、休日のお昼、東京のど真ん中での声かけは結構勇気がいりました。まぁこれは、自分の市場価値を意識せずに生きてきたペナルティ。早く自分の強みを見つけられるよう頑張ろう。
最後に
気になるお値段は、7食(金曜夜と土日の3食ずつ)込みでほぼ1万円。これをどう捉えるかはそれぞれだけど、個人的には非常にリーズナブルだと感じた(金曜に飲みに行ったら同じぐらいかかること普通にあるし。しかも、全く期待していなかったご飯もビュッフェ形式で非常に美味しかった。)
普段、スタートアップ界隈とは対極の大企業病に蝕まれている身としては、スタートアップの雰囲気(の一部)を何となく感じられ、巷で話題のリーンスタートアップ手法を身をもって学べたので、週末を全て潰してでも参加する価値はあったかなと。
反省点としては、ピッチしたアイデアが適当すぎたこと。さすがに、会場に向かう電車の中で思いついたものではきつかった。やっぱり、自分のアイデアを形にする、そのためにチームを組んで一生懸命頑張る、というのが、今後起業してやりたいことだし、実際にやってて一番面白いと思う。だから、今回はピッチをないがしろにして、その疑似体験のチャンスをみすみす手放してしまったのが、非常にもったいなく悔やまれる。
期待していたことは概ね学べたので非常に満足、次回の参加予定は特にないけれど、興味ある分野で「これやりたい!」というのがあれば、また参加してみたいなーと思う面白い3日間でした。ありがとうございました。